吐き気がするので屈んで口を開いた。なにも出てこない。ボウリング玉くらいの黒い塊でも出てきてくれれば楽になるのかもしれない。その黒い塊がぱかっと割れて中から黒い鶏が出てくる。羽化したばかりなので真っ黒ではなく灰色がかった黒だ。空が青白いので「こけこっこー」と鳴いてみるが今は午後6時。午前6時と勘違いした黒い鶏は何事もなかったように小屋に戻っていく。黒い鶏は冷蔵庫から缶ビールを取り出し中二階の段差に腰掛け今日一日を振り返る。もう一本飲もうか迷ったが明日も朝が早いので布団に入って寝る。せめて夢の中ででも。そんなことを想うこともなく。